(1)目的 |
地温の研究を行うにあたり、最初に地表面温度の特徴を明らかにする。 気温や日射によって得られた熱は、地表面温度を上昇させる。いったい、どの程度地表面温度は上昇するのだろうか。私たちは経験上、地表面の状態によって表面温度が異なることを感じる。たとえば、日射の強い日には、アスファルト道路などは非常に暑くなるのに、草地等では比較的地温上昇が小さいことなどである。 いったい、地表面温度はどのくらいなのであろうか。盆地の各地で地表面温度を測定してみる。 |
(2)仮説の設定 |
地表面温度に最も影響するのは日射と考えられる。日射量がほぼ同じ場合、表面温度は地表面の状態により異なると考えられる。すなわち、アスファルト道路などは表面温度が非常に高く、土やグラウンド等の裸地も比較的高く、草地等は最も地温が低いと考えられる。 |
(3)方法 |
測定は、古川盆地内のいろいろな地点で行う。日射の影響をなるべく少なくするため、短時間で多くのポイントで測定を行う必要がある。観測をスムースに行うため、測定に放射温度計を用いる。放射温度計とは、物体の表面から放射される赤外線強度を測定することにより、物体の表面温度を瞬時に測定する装置である。 |
(4)検証 |
測定は、7月23日に行った。この日も、気温が30℃を超える猛暑であった。 測定の結果を地表の状態別にアスファルト、水田、畑・その他の3つに分けて図2−1 、2、3に示す。 これらの図をみて、地表面温度には盆地内で地域的な差はあまり見られないことがわかる。地面の状態の比較のためそれぞれの最高、最低、平均値を求めると、 アスファルト: 最高58.5℃、最低36.5℃、平均47.7℃。 水田 : 最高38.5℃、最低20.5℃、平均31.1℃。 畑・その他 : 最高49.5℃、最低30.5℃、平均38.0℃。となって、 明らかにアスファルトの地面が高いことがわかる。よって仮説は検証された。 水田の値が低いのは、水の影響もあるが、稲の蒸散作用のためと考えられる。 |
(5)まとめ |
地表面温度を測定した結果、真夏の日中には地表面温度は場所により60℃近くに達することがわかった。このように地表が受けた熱の多くは、地中に吸収され、地下に伝導していくものと考えられる。これにより、地下の温度分布はどのようになっているのだろうか。次章で研究してみる。 |
図2−1 アスファルト
図2−2 水田
図2−3畑・その他