1.研究の動機 過去4年間にわたって飛騨の盆地に特徴的に発生する朝霧の研究を続継する中で,逆転層と霧に密接な関係があることが分かってきた(科学の芽12・13集)。そして霧発生時以外の気温の鉛直分布はどうなっているのかに興味を覚えこの研究をはじめた。 2.研究の目的 新しい研究テーマのため,研究方法や手段を確立することを第一の目的とした。次に,盆地内の気温の鉛直分布の様子を明らかにする。そしてこの鉛直分布と風,天気および天気図との関係を考察する。 3.研究の方法 従来からの「仮説一検証」法を基本にして研究を行った。すなわち,テーマの設定⇒観測・データ収集⇒コンピューター処理⇒検証⇒次の段階という方法である。気温の鉛直分布は,本校々庭(標高560m),安峰山中腹(標高760m).数河峠(標高900m)の3ヶ所のデータで調べた.このデータを横軸に気温,縦軸に標高をとってグラフ化した。なおこのグラフは,ディスプレイの画面上では動画として見ることができる。しかし静止画では,変化がつかみに〈い。そこで2点間の気温の鉛直分布を示す数値として気温勾配を考えた。正の値ならば逆転状態.負の値なら 気温勾配=(高所の気温)−(低所の気温) ―――――――――――――― (℃/100m) (標高差)÷100 5.研究のまとめ 今回研究の対象にした古川盆地は,かなりの頻度で気温勾配の値が正になる.すなわち逆転層が形成されやすい。その原因として盆地の周囲の山腹が巨大な放熱装置として働いていると考えられる(図4)。今後は具体的な冷気の流れの観測やシュミレーションという方向へ研究を発展きせたい. |